足根骨の骨折 踵骨(しょうこつ)骨折


踵骨骨折は、大きく分類すると、以下の2つです。

①捻挫や反復動作の外力と靱帯の張力が作用して発症するもの、

②高所からの転落などで、踵を強く突いたときの外力により発症するもの、

①は踵骨前方突起骨折で説明を終えています。

ここでは、②転落などによる衝突・圧迫型の骨折を解説します。

image44

踵骨(しょうこつ)とは、かかとの骨で、直接、地面に接して体重を支えています。

image45

足根骨の中で最も大きく、不整な四角形であり、かかとの突出は、この骨の隆起によるものです。

踵骨は硬い皮質骨の殻のなかに、スポンジのような軟らかい骨、海綿骨が詰まっています。

例えれば、和菓子のモナカの構造によく似ているのです。

高所からの転落で、モナカを踏み潰したように骨折し、踵骨上面の関節面が落ち込むのです。

結果、踵骨の上に位置する距骨との関節が転位し、踵が幅広く、高さが低く変形するのです。

 

骨折は、主にかかとの後面からの衝撃で発症する陥没型骨折と、かかとの下面からの衝撃で発症する舌状型骨折があります。距骨の突起部が舌のように見えることから、このように呼ばれています。

関節陥没型

image46

舌状型

骨折線は関節面におよぶことが多く、転位を残したままでは重度の機能障害を生じます。

踵骨全体像もケーキを押しつぶしたようにペシャンコになり、疼痛や扁平足などにより重篤な歩行障害を残すことが多く、治療が長期化し、非常に厄介な骨折です。

image47

下方に向かって骨折するもの、踵骨後方へ向かって水平に骨折するものがあります。

転位のないもの、転位が小さく徒手整復が可能なものは、4~6週のギプス固定となります。

一方転位があって、徒手整復が困難なときは、オペによる整復と固定が実施されています。

転位とは、距踵関節部でずれることです。

 

image48

この骨折の形状では、オペによる整復と固定が実施されています。

 

骨癒合を完了しても、痛みや腫れが改善しないことが多く、骨癒合後のケアに苦労します。

疼痛や腫脹が消失するまで2~3年を要する症例も非常に多く見られます。

また、粉砕骨折や後距踵関節に骨折線がおよんでいる症例では、確実に後遺障害を遺残します。

 

外傷後関節症などで変形を生ずると強い疼痛や歩行障害が残存します。

こんなときは、関節固定術のオペが選択されています。

 

踵骨骨折における後遺障害について

 

1)踵骨骨折では、骨折部の疼痛が後遺障害の対象となります。

症状としては、歩行時の痛み、坂道や凸凹道の歩行や長時間の立位が困難なこと、高所での作業が不可能であることが代表的です。

この状態が2年以上続くこともあり、症状固定の決断に頭を悩ませています。

事務職であれば、問題を残しませんが、営業職や現業職では就労復帰が遅れます。

当面の配置転換が可能であれば、この問題はクリアーできますが、全員がそうではありません。

私は、こんな状況でも、骨癒合が完了した時点で、症状固定とすべきと考えています。

XP、CTで骨折後の骨癒合状況を立証し、12級13号を獲得する方向です。

image49

①これ以外には、ベーラー角度の減少による外傷性偏平足があるかどうか?

ベーラー角は、20~40°が正常ですが、健側と比較して問題提起をしています。

これもONISのソフトで、計測できます。

②距踵関節面に、僅かでも変形が認められるかどうか?

③MRIで、内外果の周囲の腱や靱帯、軟部組織に瘢痕性癒着が認められるかどうか?

これらのチェックも怠りません。

 

2)もう1つ、踵骨の骨折部にズディック骨萎縮が認められ、灼熱痛を訴え、車椅子状態で、就労復帰の見通しが、どうにも立たないことがあります。

これは単なる疼痛ではなく、複合性局所疼痛症候群、CRPSタイプⅡカウザルギーです。

カウザルギーを丹念に立証して、後遺障害等級を獲得しなければなりません。

 

3)踵骨の粉砕骨折、後距踵関節に骨折線がおよんでいる重症例では、歩行時の疼痛にとどまらず、足関節に大きな可動域制限を残します。

 

普通は、足関節の背屈と底屈の計測で立証は終了しますが、計測は、内返し、外返し、回内、回外まで行うほうがよいでしょう。

さらに、CTの3D撮影で、べーラー角の計測による縦アーチの崩壊、距踵関節面の変形、MRIで、内外果の周囲の腱や靱帯、軟部組織の瘢痕性癒着を緻密に立証すれば、上位等級の可能性もあります。

image50

歩行時に足底板の装用を必要としているかも、等級獲得では一つの事情となります。

 

4)私の経験則では、第12胸椎圧迫骨折や腓骨筋腱損傷を合併した例があります。

 

胸腰椎の圧迫骨折は、縦方向に衝撃が加えられたことによるもので、不思議ではありません。

腓骨筋腱の走行路の転位を修正することは、オペ段階で可能ですが、見落とされています。

 

>>交通事故のお悩みについて

001.部位別の交通事故後遺障害

1.顔(眼・口・耳・鼻)の外傷と後遺障害
眼の仕組みと後遺障害について
眼瞼=まぶたの外傷
外傷性眼瞼下垂 (がいしょうせいがんけんかすい)
動眼神経麻痺 (どうがんしんけいまひ)
ホルネル症候群
外転神経麻痺 (がいてんしんけいまひ)
滑車神経麻痺 (かっしゃしんけいまひ)
球結膜下出血
角膜上皮剥離 (かくまくじょうひはくり)
角膜穿孔外傷 (かくまくせんこうがいしょう)
前房出血 (ぜんぼうしゅっけつ)
外傷性散瞳 (がいしょうせいさんどう)
涙小管断裂 (るいしょうかんだんれつ)
外傷性虹彩炎
虹彩離断 (こうさいりだん)
水晶体亜脱臼 (すいしょうたいあだっきゅう)
水晶体脱臼、無水晶体眼
外傷性白内障 (がいしょうせいはくないしょう)
眼窩底破裂骨折 (がんかていはれつこっせつ)
視神経管骨折 (ししんけいかんこっせつ)
硝子体出血 (しょうしたいしゅっけつ)
外傷性網膜剥離 (がいしょうせいもうまくはくり)
網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)
外傷性黄斑円孔(がいしょうせいおうはんえんこう)
眼底出血 網膜出血・脈絡膜出血
眼球破裂 (がんきゅうはれつ)
続発性緑内障 (ぞくはつせいりょくないしょう)
耳の構造
耳介裂創 (じかいれっそう)
耳垂裂 (じすいれつ)
耳鳴り
外傷性鼓膜穿孔 (こまくせんこう)
流行性耳下腺炎 (りゅうこうせいじかせんえん)
側頭骨骨折 (そくとうこつこっせつ)
頭蓋底骨折 (ずがいていこっせつ)
騒音性難聴 (そうおんせいなんちょう)
音響性外傷 (おんきょうせいげいしょう)
鼻の構造、仕組み
鼻骨々折 (びこつこっせつ)
鼻篩骨骨折 (びしこつこっせつ)
鼻軟骨損傷 (びなんこつそんしょう)
鼻の欠損
嗅覚の脱失
口の構造と仕組み
頬骨々折 (きょうこつこっせつ) 頬骨体部...
頬骨弓骨折 (きょうこつきゅうこっせつ)
眼窩底骨折 (がんかていこっせつ)
上顎骨骨折 (じょうがくこつこっせつ)
下顎骨骨折 (かがくこつこっせつ)
味覚障害
嚥下障害
言語の機能障害 反回神経麻痺
特殊例 気管カニューレ抜去困難症
醜状障害
ステム周囲骨折
4.手・腕の外傷と後遺障害
上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたん...
上腕骨骨幹部骨折(じょうわんこつこつかんぶ...
手の構造
手根骨の骨折 有鈎骨骨折(ゆうこうこつこっせつ)
手根骨の骨折 有頭骨々折(ゆうとうこつこっせつ)
手根骨の骨折 舟状骨々折(しゅうじょうこつ...
手根骨の骨折 月状骨脱臼(げつじょうこつだ...
手根骨の骨折 舟状・月状骨間解離
手根骨の骨折 三角・月状骨間解離
手根骨の骨折 手根不安定症(しゅこんふあん...
手根骨骨折の総括
手根骨の骨折 TFCC損傷
手指の各関節の側副靭帯損傷 親指MP関節尺...
手指伸筋腱損傷
手指の伸筋腱脱臼
手指屈筋腱損傷
手指の脱臼と骨折 中手骨頚部骨折
手指の脱臼と骨折 中手骨基底部骨折
手指の脱臼と骨折 中手骨々幹部骨折
手指の脱臼と骨折 ボクサー骨折
手指の脱臼と骨折 PIP関節脱臼骨折
手指の脱臼と骨折 マレット フィンガー=槌指
手指の脱臼と骨折 親指CM関節脱臼
クロスフィンガー
手指の靱帯・腱損傷および骨折における後遺障...
手指の靱帯・腱損傷および骨折における後遺障...
手指の欠損について
骨折の分類
右肘内側々副靱帯損傷(ないそくそくふくじん...
右手首の腱鞘炎と前腕部の炎症
上腕骨骨幹部骨折(じょうわんこつこつかんぶ...
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
後骨間神経麻痺(こうこつかんしんけいまひ)
上腕骨遠位端骨折 (じょうわんこつえんいた...
フォルクマン拘縮
テニス肘
尺骨神経麻痺(しゃくこつしんけいまひ)
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
ギヨン菅症候群
肘関節と手関節、橈骨と尺骨の仕組み
橈骨頭・頚部骨折(とうこっとう・けいぶこっせつ)
肘関節脱臼(ちゅうかんせつだっきゅう)
肘頭骨折(ちゅうとうこっせつ)
尺骨鉤状突起骨折(しゃくこつこうじょうとっ...
橈・尺骨々幹部骨折(とう・しゃくこつこつか...
モンテジア骨折
ガレアッチ骨折
橈骨遠位端骨折、コーレス骨折とスミス骨折
バートン骨折
キーンベック病=月状骨軟化症
変形性肘関節症(へんけいせいちゅうかんせつ...
変形性肩関節症(へんけいせいかたかんせつしょう)
ズディック骨萎縮  Sudeck骨萎縮
ショーファー骨折=橈骨茎状突起骨折
尺骨茎状突起骨折(しゃっこつけいじょうとっ...
正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)
前骨間神経麻痺 (ぜんこつかんしんけいまひ)
手根管症候群 (しゅこんかんしょうこうぐん)
上腕神経叢麻痺 (じょうわんしんけいそうまひ)
5.胸腹部の外傷と後遺障害
肋骨骨折
肋骨多発骨折の重症例 外傷性血胸
肋骨多発骨折の重症例 フレイルチェスト、F...
胸郭出口症候群 (きょうかくでぐちしょうこ...
胸腹部臓器の外傷と後遺障害について
肺挫傷 (はいざしょう)
皮下気腫、縦隔気腫 (ひかきしゅ、じゅうか...
気管・気管支断裂 (きかん・きかんしだんれつ)
横隔膜の仕組み
外傷性横隔膜破裂・ヘルニア
心臓の仕組み
心膜損傷、心膜炎 (しんまくそんしょう、し...
冠動脈の裂傷
心挫傷、心筋挫傷 (しんざしょう、しんきん...
心臓・弁の仕組み
心臓、弁の損傷
大動脈について
外傷性大動脈解離 (だいどうみゃくかいり)
心肺停止 (しんぱいていし)
過換気症候群 (かかんきしょうこうぐん)
肺血栓塞栓、肺脂肪塞栓 (はいけっせんそく...
外傷性胸部圧迫症
腹部臓器の外傷
実質臓器 肝損傷 (かんそんしょう)
実質臓器 胆嚢損傷 (たんのうそんしょう)
管腔臓器 肝外胆管損傷 (かんがいたんかん...
実質臓器 膵臓損傷 (すいぞうそんしょう)
実質臓器 膵臓の損傷
実質臓器 脾臓
管腔臓器 胃
外傷性胃の破裂 (いのはれつ)
管腔臓器 小腸
管腔臓器 小腸穿孔 (しょうちょうせんこう)
管腔臓器 大腸
大腸穿孔、大腸破裂
腹壁瘢痕ヘルニア
腹膜・腸間膜の障害
実質臓器 腎臓
腎挫傷、腎裂傷、腎破裂、腎茎断裂
尿管、膀胱、尿道
尿管外傷 (にょうかんがいしょう)
膀胱の外傷
尿道の外傷
外傷性尿道狭窄症
神経因性膀胱
尿崩症 (にょうほうしょう)
脊髄損傷
実質臓器 副腎の損傷
急性副腎皮質不全 (きゅうせいふくじんひし...
男性の生殖器
女性の生殖器
横隔膜ペーシング
7.足の外傷と後遺障害
足の構造と仕組み
足趾の骨折 基節骨の骨折
足趾の骨折 中足骨骨折
足趾の骨折 第5中足骨基底部骨折=下駄骨折
足趾の骨折 ジョーンズ骨折、Jones骨折...
足趾の骨折 種子骨の骨折
足根骨の骨折 外傷性内反足(がいしょうせい...
右腓骨遠位端線損傷
右足関節果部骨折
足根骨の骨折 距骨(きょこつ)骨折
足根骨の骨折 右踵骨不顕性(みぎしょうこつ...
足根骨の骨折 距骨々軟骨(きょこつこつなん...
足根骨の骨折 足根管症候群(そっこんかんし...
座骨・腓骨・骨神経麻痺って、なに?
坐骨神経麻痺(ざこつしんけいまひ)
脛骨神経麻痺(けいこつしんけいまひ)
腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)
深腓骨(しんひこつ)神経麻痺=前足根管(せ...
浅腓骨(せんひこつ)神経麻痺
足根骨の骨折 足底腱膜断裂(そくていけんま...
足根骨の骨折 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
モートン病 (MORTON病)
足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)
アキレス腱断裂
アキレス腱滑液包炎
足関節不安定症
変形性足関節症
SLAP損傷=上方肩関節唇損傷
突き指について
腓腹筋断裂 肉離れ
足関節に伴う靱帯損傷のまとめ
足関節離断性骨軟骨炎(あしかんせつりだんせ...
脛・腓骨々骨幹部開放性骨折(けい・ひこつこ...
下腿のコンパートメント症候群
膝関節の仕組み
膝関節内骨折 骨顆部骨折(けいこつかぶこっせつ)
脛骨と腓骨の働き
脛骨顆間隆起骨折(けいこつかかんりゅうきこ...
腓骨骨折
膝窩動脈損傷(しつかどうみゃくそんしょう)
膝蓋骨々折(しつがいこつこっせつ)
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨々軟骨々折とスリーブ骨折
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
ACL前十字靱帯損傷(ぜんじゅうじじんたい...
PCL 後十字靱帯損傷(こうじゅうじじんた...
MCL内側々副靱帯損傷(ないそくそくふくじ...
LCL外側々副靭帯損傷(がいそくそくふくじ...
PLS膝関節後外側支持機構(ひざかんせつこ...
複合靭帯損傷(ふくごうじんたいそんしょう)
変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
足根骨の骨折 踵骨(しょうこつ)骨折
膝離断性骨軟骨炎(しつりだんせいこつなんこ...
膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)
大腿骨顆部骨折(だいたいこつかぶこっせつ)
大腿骨々幹部骨折(だいたいこつこつかんぶこ...
右腓骨筋腱周囲炎(みぎひこつきんけんしゅう...
大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
大腿骨転子部・転子下骨折(だいたいこつてん...
股関節の仕組み
股関節後方脱臼・骨折(こかんせつこうほうだ...
股関節中心性脱臼(こかんせつちゅうしんせい...
外傷性骨化性筋炎(がいしょうせいこっかせい...
骨盤の仕組み
肉離れ、筋違いと捻挫について
股関節唇損傷
変形性股関節症
仙髄神経麻痺
足関節果部脱臼骨折、コットン骨折
下腿骨の切断、足趾の切断
足関節の構造と仕組み
足の構造と仕組み
/div>
9.死亡事故

該当する情報がございません。

iv>
12.遷延性意識障害

該当する情報がございません。

財産分与について⑪ - 弁護士の井筒です。   本日は、扶養的財産分与について説明していきます。  ...2017.8.8