腹部臓器の外傷


さて、腹部の臓器は、実質臓器と管腔臓器の2種類に分類されています。
肝臓、腎臓、膵臓、脾臓、胆嚢は、中味がシッカリと詰まった実質臓器であり、胃、12指腸、小腸、大腸などの、消化管は管腔臓器と呼ばれています。

交通事故では、腹部が強い衝撃を受ける鈍的外傷により、実質臓器や管腔臓器が損傷しています。
バイクの運転者が転倒・衝突する、車やバイクに歩行者がはねられるものが大多数で、腹部外傷の43%は、交通事故受傷を原因としています。
ナイフや拳銃による鋭的外傷に比較すると、損傷の範囲が大きいのが特徴です。

腹部内臓の外傷では、まず出血しているか?
どこで出血しているか? これらの検証が重要です。
中心的役割を果たすのは、腹部超音波検査と造影剤を用いたCT検査です。

腹部超音波検査は、ベッドサイドでできる、器具を当てるだけの検査で、痛みを伴いません。
数十秒の検査時間で、腹腔内に出血があるかないかを調べることができます。
出血しているときは、繰り返し腹部超音波検査を行うことによって、出血が増えてくるかどうかを調べることもできます。
しかし、エコー検査では、出血源を探し当てることが困難です。

したがって、出血が増えてくるときは、造影剤を用いたCT検査を追加します。
CT検査であれば、腹部超音波検査と比較して腹部や背部の深部まで観察が可能で、造影剤を用いることによって出血の勢いも描出することができます。

最近のMDCTは、30秒程度の検査時間で、腹部内臓の外傷を詳細に描出することが可能であり、腹部の外傷の診断に大きく貢献しています。
1)実質臓器損傷の治療
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肝損傷

実質臓器は、衝撃によって破裂することがあり、ほとんどで、損傷部分からの出血を伴います。
それぞれの臓器は、肝臓は胆汁、腎臓は尿、膵臓は膵液などの体液を作っており、実質臓器の損傷部分から、これらの体液が腹部に漏れ出すことがあります。
出血や体液が腹部に漏出すると腹膜炎を発症します。
実質臓器の損傷部からの出血や体液の漏出は、致命傷になることもあり、緊急的な治療を要します。

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治療の中心は出血と体液漏出の制御ですが、オペによる外科的治療と、カテーテル治療があります。実質臓器損傷の手術は、損傷部分からの出血を糸で縛る、破裂した組織を縫合することで止血する、体液の漏出部分を修復するなどが行われています。
組織の損傷が強く、いずれの方法でも止血や修復が難しいときは、部分切除術が行われます。
できるだけ臓器を残す温存手術が望ましいですが、損傷が著しいときは、全摘術が選択されます。

出血量が大量で、止血機能が破綻して、血が止まらないときは、オペを中止し、大量の手術用ガーゼで出血部分を圧迫止血した状態で、集中治療室に収容されます。
輸血、保温など、止血機能を回復させる処置を行い、オペが再開されています。
これは、ダメージコントロール手術と呼ばれています。

カテーテル治療は、軽傷から中等症での適応となります。
出血の制御では、体外からカテーテルを出血源近くまで挿入し、カテーテルから止血用の塞栓物質を注射して、血管の中から血管を詰めて止血する方法で、経動脈的塞栓術、TAEと呼ばれます。
体液の漏出に関しては、貯留した体液を体外から針を刺して体外に誘導する方法があります。
これによって、自然治癒を促す方法であり、経皮的穿刺ドレナージ術と呼ばれています。

2)管腔臓器損傷の治療

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小腸損傷

管腔臓器は、衝撃によって内腔の圧力が急上昇し、破裂することがあります。
そうなると、破裂部から食物や便などの内容物が漏れ出します。
内容物が腹腔内に漏出すると、強い腹膜炎を起こし、放置すると致命傷となります。
管腔臓器損傷の治療法は、原則として外科的手術が選択されています。
治療の要点は、損傷部を修復する、汚染物質を体外に排出することです。
管腔臓器損傷の手術方法は、損傷部位により異なります。
胃や小腸損傷では、破裂部分を縫合する、挫滅部分を除去して再度、吻合します。

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12指腸損傷や大腸損傷も、破裂部分が小さく、挫滅が少ないときは、縫合術ですが、炎症や挫滅が強いときは、複雑な手術が選択されています。

12指腸には、胆汁と膵液が分泌されています。
胆汁と膵液は、蛋白や脂肪の消化酵素として働くために、組織の修復を著しく阻害することになります。よって十二指腸損傷の重症型では、複雑な手術が必要になります。

大腸損傷は、腸内容物が糞便であるので、細菌による腹膜炎が最も強くなります。
細菌性腹膜炎は、細菌が血管内に侵入し、全身を循環し、敗血症を起こしやすくなります。
敗血症で血圧が下がりすぎたショック状態では、大腸の破裂部分を切除して再度吻合しても、吻合部が閉じないことがあり、再度、糞便が漏出、腹膜炎が悪化し、それが致命傷になることがあります。

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悪循環を断ち切る必要から、破裂部を体外に引き出し、一時的に人工肛門とするオペが行われます。
まず、人工肛門を作成し、その後、体力が回復した時点で、通常の修復術が行われます。
これは、二期手術、ダメージコントロール術と呼ばれています。

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001.部位別の交通事故後遺障害

1.顔(眼・口・耳・鼻)の外傷と後遺障害
眼の仕組みと後遺障害について
眼瞼=まぶたの外傷
外傷性眼瞼下垂 (がいしょうせいがんけんかすい)
動眼神経麻痺 (どうがんしんけいまひ)
ホルネル症候群
外転神経麻痺 (がいてんしんけいまひ)
滑車神経麻痺 (かっしゃしんけいまひ)
球結膜下出血
角膜上皮剥離 (かくまくじょうひはくり)
角膜穿孔外傷 (かくまくせんこうがいしょう)
前房出血 (ぜんぼうしゅっけつ)
外傷性散瞳 (がいしょうせいさんどう)
涙小管断裂 (るいしょうかんだんれつ)
外傷性虹彩炎
虹彩離断 (こうさいりだん)
水晶体亜脱臼 (すいしょうたいあだっきゅう)
水晶体脱臼、無水晶体眼
外傷性白内障 (がいしょうせいはくないしょう)
眼窩底破裂骨折 (がんかていはれつこっせつ)
視神経管骨折 (ししんけいかんこっせつ)
硝子体出血 (しょうしたいしゅっけつ)
外傷性網膜剥離 (がいしょうせいもうまくはくり)
網膜振盪症(もうまくしんとうしょう)
外傷性黄斑円孔(がいしょうせいおうはんえんこう)
眼底出血 網膜出血・脈絡膜出血
眼球破裂 (がんきゅうはれつ)
続発性緑内障 (ぞくはつせいりょくないしょう)
耳の構造
耳介裂創 (じかいれっそう)
耳垂裂 (じすいれつ)
耳鳴り
外傷性鼓膜穿孔 (こまくせんこう)
流行性耳下腺炎 (りゅうこうせいじかせんえん)
側頭骨骨折 (そくとうこつこっせつ)
頭蓋底骨折 (ずがいていこっせつ)
騒音性難聴 (そうおんせいなんちょう)
音響性外傷 (おんきょうせいげいしょう)
鼻の構造、仕組み
鼻骨々折 (びこつこっせつ)
鼻篩骨骨折 (びしこつこっせつ)
鼻軟骨損傷 (びなんこつそんしょう)
鼻の欠損
嗅覚の脱失
口の構造と仕組み
頬骨々折 (きょうこつこっせつ) 頬骨体部...
頬骨弓骨折 (きょうこつきゅうこっせつ)
眼窩底骨折 (がんかていこっせつ)
上顎骨骨折 (じょうがくこつこっせつ)
下顎骨骨折 (かがくこつこっせつ)
味覚障害
嚥下障害
言語の機能障害 反回神経麻痺
特殊例 気管カニューレ抜去困難症
醜状障害
ステム周囲骨折
4.手・腕の外傷と後遺障害
上腕骨近位端骨折(じょうわんこつきんいたん...
上腕骨骨幹部骨折(じょうわんこつこつかんぶ...
手の構造
手根骨の骨折 有鈎骨骨折(ゆうこうこつこっせつ)
手根骨の骨折 有頭骨々折(ゆうとうこつこっせつ)
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手根骨の骨折 TFCC損傷
手指の各関節の側副靭帯損傷 親指MP関節尺...
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肘関節と手関節、橈骨と尺骨の仕組み
橈骨頭・頚部骨折(とうこっとう・けいぶこっせつ)
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橈骨遠位端骨折、コーレス骨折とスミス骨折
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正中神経麻痺(せいちゅうしんけいまひ)
前骨間神経麻痺 (ぜんこつかんしんけいまひ)
手根管症候群 (しゅこんかんしょうこうぐん)
上腕神経叢麻痺 (じょうわんしんけいそうまひ)
5.胸腹部の外傷と後遺障害
肋骨骨折
肋骨多発骨折の重症例 外傷性血胸
肋骨多発骨折の重症例 フレイルチェスト、F...
胸郭出口症候群 (きょうかくでぐちしょうこ...
胸腹部臓器の外傷と後遺障害について
肺挫傷 (はいざしょう)
皮下気腫、縦隔気腫 (ひかきしゅ、じゅうか...
気管・気管支断裂 (きかん・きかんしだんれつ)
横隔膜の仕組み
外傷性横隔膜破裂・ヘルニア
心臓の仕組み
心膜損傷、心膜炎 (しんまくそんしょう、し...
冠動脈の裂傷
心挫傷、心筋挫傷 (しんざしょう、しんきん...
心臓・弁の仕組み
心臓、弁の損傷
大動脈について
外傷性大動脈解離 (だいどうみゃくかいり)
心肺停止 (しんぱいていし)
過換気症候群 (かかんきしょうこうぐん)
肺血栓塞栓、肺脂肪塞栓 (はいけっせんそく...
外傷性胸部圧迫症
腹部臓器の外傷
実質臓器 肝損傷 (かんそんしょう)
実質臓器 胆嚢損傷 (たんのうそんしょう)
管腔臓器 肝外胆管損傷 (かんがいたんかん...
実質臓器 膵臓損傷 (すいぞうそんしょう)
実質臓器 膵臓の損傷
実質臓器 脾臓
管腔臓器 胃
外傷性胃の破裂 (いのはれつ)
管腔臓器 小腸
管腔臓器 小腸穿孔 (しょうちょうせんこう)
管腔臓器 大腸
大腸穿孔、大腸破裂
腹壁瘢痕ヘルニア
腹膜・腸間膜の障害
実質臓器 腎臓
腎挫傷、腎裂傷、腎破裂、腎茎断裂
尿管、膀胱、尿道
尿管外傷 (にょうかんがいしょう)
膀胱の外傷
尿道の外傷
外傷性尿道狭窄症
神経因性膀胱
尿崩症 (にょうほうしょう)
脊髄損傷
実質臓器 副腎の損傷
急性副腎皮質不全 (きゅうせいふくじんひし...
男性の生殖器
女性の生殖器
横隔膜ペーシング
7.足の外傷と後遺障害
足の構造と仕組み
足趾の骨折 基節骨の骨折
足趾の骨折 中足骨骨折
足趾の骨折 第5中足骨基底部骨折=下駄骨折
足趾の骨折 ジョーンズ骨折、Jones骨折...
足趾の骨折 種子骨の骨折
足根骨の骨折 外傷性内反足(がいしょうせい...
右腓骨遠位端線損傷
右足関節果部骨折
足根骨の骨折 距骨(きょこつ)骨折
足根骨の骨折 右踵骨不顕性(みぎしょうこつ...
足根骨の骨折 距骨々軟骨(きょこつこつなん...
足根骨の骨折 足根管症候群(そっこんかんし...
座骨・腓骨・骨神経麻痺って、なに?
坐骨神経麻痺(ざこつしんけいまひ)
脛骨神経麻痺(けいこつしんけいまひ)
腓骨神経麻痺(ひこつしんけいまひ)
深腓骨(しんひこつ)神経麻痺=前足根管(せ...
浅腓骨(せんひこつ)神経麻痺
足根骨の骨折 足底腱膜断裂(そくていけんま...
足根骨の骨折 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
モートン病 (MORTON病)
足根洞症候群(そっこんどうしょうこうぐん)
アキレス腱断裂
アキレス腱滑液包炎
足関節不安定症
変形性足関節症
SLAP損傷=上方肩関節唇損傷
突き指について
腓腹筋断裂 肉離れ
足関節に伴う靱帯損傷のまとめ
足関節離断性骨軟骨炎(あしかんせつりだんせ...
脛・腓骨々骨幹部開放性骨折(けい・ひこつこ...
下腿のコンパートメント症候群
膝関節の仕組み
膝関節内骨折 骨顆部骨折(けいこつかぶこっせつ)
脛骨と腓骨の働き
脛骨顆間隆起骨折(けいこつかかんりゅうきこ...
腓骨骨折
膝窩動脈損傷(しつかどうみゃくそんしょう)
膝蓋骨々折(しつがいこつこっせつ)
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨々軟骨々折とスリーブ骨折
半月板損傷(はんげつばんそんしょう)
ACL前十字靱帯損傷(ぜんじゅうじじんたい...
PCL 後十字靱帯損傷(こうじゅうじじんた...
MCL内側々副靱帯損傷(ないそくそくふくじ...
LCL外側々副靭帯損傷(がいそくそくふくじ...
PLS膝関節後外側支持機構(ひざかんせつこ...
複合靭帯損傷(ふくごうじんたいそんしょう)
変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
足根骨の骨折 踵骨(しょうこつ)骨折
膝離断性骨軟骨炎(しつりだんせいこつなんこ...
膝蓋前滑液包炎(しつがいぜんかつえきほうえん)
大腿骨顆部骨折(だいたいこつかぶこっせつ)
大腿骨々幹部骨折(だいたいこつこつかんぶこ...
右腓骨筋腱周囲炎(みぎひこつきんけんしゅう...
大腿骨頚部骨折(だいたいこつけいぶこっせつ)
大腿骨転子部・転子下骨折(だいたいこつてん...
股関節の仕組み
股関節後方脱臼・骨折(こかんせつこうほうだ...
股関節中心性脱臼(こかんせつちゅうしんせい...
外傷性骨化性筋炎(がいしょうせいこっかせい...
骨盤の仕組み
肉離れ、筋違いと捻挫について
股関節唇損傷
変形性股関節症
仙髄神経麻痺
足関節果部脱臼骨折、コットン骨折
下腿骨の切断、足趾の切断
足関節の構造と仕組み
足の構造と仕組み
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12.遷延性意識障害

該当する情報がございません。

財産分与について⑪ - 弁護士の井筒です。   本日は、扶養的財産分与について説明していきます。  ...2017.8.8