寄与分について


相続について

2017.4.2

弁護士の井筒です。

 

相続人には、本来の相続分とは別に、財産を受け取ることが出来る寄与分という制度があります。これは、被相続人の財産の維持又は増加に特別の寄与をした人に対して、本来の相続分とは別に、その寄与分を相続財産の中から別に取得出来るようにする制度です。

 

寄与として認められるのは、財産の形成などに特別に貢献した、以下のような場合に限られます。

①被相続人の事業への労働力の提供や財産の給付

②被相続人の療養看護

③その他の方法

 

特別に貢献した場合とされているため、妻としての献身的な貢献や親孝行などは、特別とは認められず、寄与分制度の対象とはなりません。

 

また、寄与分は相続人にのみ認められる制度であるため、相続人でない人には寄与分は認められません。ただし、相続人がいない場合、貢献者が特別縁故者(内縁関係の夫・妻、療養看護に努めた者など被相続人と一定の特別の縁故があった人のこと)として、家庭裁判所の審判により、遺産の一部又は全部の取得を認められることがあります。

 

寄与分の額については、目安になるものがないため、基本的には相続人同士の協議で決定します。協議が整わない場合や、協議が出来ない場合は、寄与者が家庭裁判所に調停・審判を申し立てて決めてもらいます。寄与分の割合に特別な定めはありませんが、遺贈の価額を控除した額を超えることはできません。

 

寄与分が決定した後、遺産の分割を次のとおり行います。

・遺産の総額から寄与分を差し引いた相続財産を決定する。

・決定した相続財産をそれぞれの相続分で分け、寄与分は貢献した人に与える。

 

寄与分制度も、特別受益と同様に、法定相続分の一部を修正し、相続人同士の実質的な公平を図っています。

 

次回は、相続人がいない場合の相続財産についてご説明致します。

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