注文者と請負人との間の紛争について


建設・建築について

2017.5.11

弁護士の古屋です

 

今回は、建築問題の中で、問題の発生しやすい注文者と請負人との間の紛争について、ご説明いたします。

 

請負人の注文者に対する請求としては、請負契約に基づく請負代金請求が一般的です。

請負契約において確定額が定められ、そのとおりに施工され、建物が完成した場合、請負代金請求について問題となることはありませんが、現実には、書面を取り交わすことなく口頭でのやりとりだけで建築工事が行われることも多く、その結果、工事内容、工事代金等について問題が発生するということも少なくありません。

 

建物建築の請負契約は、一般的にその代金額が高額であることから、代金額が定額で明示的に定められ、契約書も作成されることが多いですが、着工を急いだり、それまでにも取引を繰り返していたこと等から、代金額について何らの合意に至らないまま工事に着工してしまうケースがあります。

そのような場合、後に協議によって代金を精算することを予定しているのが通常なのですが、互いの認識の違い等によって、協議が成立しないということが発生してしまいます。

 

この場合、請負人に対しては、相当額の代金請求が認められることになりますが、書面等が残っていないため、その代金額の認定が困難になってしまうこともあります。

 

そのため、請負人としては、注文者から着工を急がされたり、継続的な取引をされているという場合でも、注文ごとに書面を作成しておいたり、注文者とのやり取りを記録に残しておくということが、後に代金額についての争いを避けるために重要になります。

今まで何度も注文者と口頭のみで取引していたから大丈夫という場合でも、突然請負代金が支払われなくなったというケースも少なくないので、注文者とのやり取りは、しっかりと記録に残しておきましょう。

 

次回からも、建築問題について、施主、施工者、設計者、工事管理者、第三者等、様々な当事者間で起こり得る問題について説明したいと思います。

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