賃料回収をめぐるトラブル


不動産について

2017.5.12

弁護士の井筒です。

 

今回は賃貸借をめぐる問題のうち、最も多いであろう賃料に関する紛争について、まずは貸主側の視点から解説していきたいと思います。

 

借主からの賃料の支払いが止まってしまった、あるいは、賃料は支払われているけれども、何ヶ月も遅れて支払われるであるとか、一部の賃料しか支払われないといった問題が生じたとしましょう。

貸主からも賃料を支払うように催促をするでしょうが、それでもなお借主が賃料を期日どおりに、全額支払わないというトラブルは多々見られます。

 

このようなとき、弁護士にご相談いただければ、内容証明郵便を借主相手に送って、支払いを催促するということが可能です。貸主からの催促には応じなかった借主であっても、弁護士からの催促には応じるといった例が見られます。

 

しかし、それでもなお、支払いに応じない借主も少なくはありません。

借主が任意での支払いに応じない場合、最終的には裁判による解決を目指すことになります。未払賃料請求訴訟を起こす場合、たいていは賃料を支払わない借主には出て行ってもらって、新たな借主を見つけたいと希望される場合が多いでしょう。この場合は、土地もしくは建物明渡し請求訴訟を同時に起こすことになります(明渡し請求の問題については後のエントリで解説します)。

 

賃料を支払わない借主側が、理由をつけてくる場合もあるでしょう。借主側の言い分についても後のエントリで検討しますが、法的に成り立つ主張であれば、勝訴できる可能性や回収できる金額にも影響しますから、慎重な検討が必要です。

 

賃料が支払われないというトラブルは、当然ながら借主側に十分な資力がないために引き起こる問題です。滞納期間が長ければ長くなるほど、借主の資力はなくなっていくでしょうから、仮に裁判で勝訴したとしても、執行の段階で、借主から金銭を回収できないといった事態に陥ってしまう危険があります。なるべく早い段階で、弁護士に相談されることをおすすめします。

 

来月も、貸主側の視点からのトラブルについて解説したいと思います。

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