弁護士の井筒です。
前回、遺言書に書かれた内容が相続人の遺留分を侵害する場合は、相続人は遺留分を請求できるとお話しました。
今回は、その遺留分についてご説明致します。
遺留分とは、兄弟姉妹以外の相続人が法律上相続できる最低限の割合のことです。(民法第1028条)
遺留分が認められるのは兄弟姉妹以外の相続人とされていますので、相続人が兄弟姉妹だけの場合でも、遺留分はありません。
原則として、被相続人が自分の財産を遺言や生前贈与でどのように処分するかは自由です。
しかし、以下に記載した処分行為が遺留分を侵害していれば、取り返すことができます。
①遺言
②相続開始前1年以内の贈与
③相続開始前1年以上前であっても、遺留分を侵害すると知ってなされた贈与
遺留分を侵害された場合は、遺留分減殺請求というものを行います。
特に形式が定められているわけではありませんので、通常は配達証明付内容証明郵便や訴訟手続きの中で明確に請求の意思表示をします。
相続開始、又は、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知った日から1年を経過すると、請求権が時効により消滅しますので注意しましょう。
また、遺留分を侵害する贈与や遺贈があったことを知らない場合も、10年を経過すると同様に請求権は消滅します。
遺留分で請求できる財産の価額は、被相続人の財産に対する割合で決まります。
被相続人の財産とは
【被相続人の死亡時の財産価額】と【贈与した財産価額】から【債務】を引いたものです。
遺留分の請求権があるからといって、必ず請求しなければならないわけではありません。
相続人は、遺留分や相続分について放棄することができます。
次回は、相続の承認・放棄についてご説明致します。